<褒めることは難しい><「ありがとう」の効果>では、どのような立場の方にも伝わるようなお話しをしました。

 今回は、特に子育てに焦点を当ててお話しします。

子の成長とともに評価的な子育てが増える

 <褒めることは難しい>でお話ししましたが、「褒めること」は「報酬」です。

 そして、その逆である「叱ること」は「罰」です。

 つまり、「褒めること」と「叱ること」は「賞罰」であり、「評価」です。

 子どもが2歳になると、イヤイヤ期が始まります。

 その頃から、親は、子どもに対して叱ることが増えます。

 また、それと同時に、子どもも少しずつ言葉がわかるようになり、褒められると嬉しそうな反応をするようになります。

 こうして、だんだんと「褒める」「叱る」関わりが増えていきます。

 さらに、多くの子は3歳には保育園か幼稚園に通うようになります。

 つまり、家庭以外の社会に出ていくようになります。

 そうすると、親は、社会的な視点を気にするようになります。

 「うちの子は社会から見て良い子だろうか?」

 例)社会的に忘れ物をすることは良くない 

   → 忘れ物をしたら叱る

   → 忘れ物をしなかったら褒める

 このように、子どもが成長すると、家庭の価値観だけでなく、社会的に望ましいかどうかの価値観に影響されるようになるのです。

 そして、それが、「褒める」や「叱る」関わりを助長します。

評価的な子育ての弊害

 まず1つ目の弊害は「子育てが難しくなること」です。

 子育ては理屈だけではできません。

 親だって人間なので、時には感情に任せて怒る時もあるし、またある時にはベタ褒めしたい時もあるでしょう。

 そのような赤の他人とは全く違う親子関係において、評価や価値観を一定の基準に保つことは至難の業です。

 その中で「褒める」「叱る」を行うと、親子ともにだんだんと混乱が生じてきます。

 親も、自分自身の一貫しない態度に落ち込むことも多くなります。

 2つ目の弊害は「子どもの自己肯定感が低下すること」です。

 自己肯定感とは「他の人より優れているところがある。そして他の人よりも劣っているところもある。でも自分“で”いいんだ」という感覚です。

 (過去の記事<自己肯定感について>をご参照いただければ幸いです)

 親からたくさん褒められ、またたくさん叱られると、子どもは親からの評価を気にするようになります

 すると「褒められる自分は良い自分」「叱られる自分は悪い自分」と自分自身を評価的に捉えるようになります。

 そして「悪い自分」をできるだけ少なくしようと思います。

 これでは、自己肯定感は育ちません。

「ありがとう」で評価的な子育てから脱する

 さて、ここからが本題です。

 前回、<「ありがとう」の効果>で、「ありがとう」と言うことで評価的な態度から離れられることをお話ししました。 

 子育てでも全く同じ効果が得られます。

 目の前の子に「良い」「悪い」ではく、「ありがとう」と伝えてみましょう。

 どうでしょう。

 「良い」「悪い」という評価的な態度から一気に離れることができませんか?

 忘れ物をするから「悪い子」ですか?

 挨拶がしっかりできるから「良い子」ですか?

 「良い」「悪い」の前に、まず「ありがとう」と伝えてみてください。

子育ての根は「生まれてきてくれてありがとう」

 出産は母子ともに命懸けです。

 今は医療が発達して、滅多なことがない限り生まれた瞬間に亡くなることはないですが、無事に生まれることは決して簡単ではありません。

 つまり、子どもが無事に生まれてくることは「当たり前ではない」のです。

 「当たり前ではない」=「ありがとう」

 生まれてきた我が子を抱いたとき、多くの方が「生まれてきてくれてありがとう」と感じたのではないでしょうか。

 生まれてきた子に「良い」も「悪い」もないですよね?

 「泣き方が悪いから叱る」なんて聞いた事がないですよね?

 「上手な泣き方」なんてありますか?

 子育ての根っこは「生まれてきてくれてありがとう」です。

 しかし、先述したように、子どもがだんだんと大きくなると、自然と「褒める」「叱る」関わりが増えていきます。

 するとなぜか、だんだんと「生まれてきてくれてありがとう」が薄れていってしまうのです。

 あなたの子が今日も学校に行くことは「当たり前」ですか?

 今日も帰ってくることは「当たり前」ですか?

 今日も生きていることは「当たり前」ですか?

 人生において「当たり前」なんてことは1つもありません。

 だから「(生まれてきてくれて)ありがとう」と伝えるのです。

「ありがとう」は子どもの自己肯定感を高める言葉

 先述したように、評価的な子育てを続けると、自己肯定感が低下する可能性があります。

 一方、子どもに「ありがとう」をたくさん伝えると、その子の自己肯定感が向上します。

 「生まれきてくれてありがとう」は、「良い」でも「悪い」でもない「あなたでいい」と伝えることができる言葉です。

 「ありがとう」という声かけは、子どもの自己肯定感が低くて悩んでいる親子の特効薬です。

 親から子への「ありがとう」は、どんな薬やカウンセリングよりも効果的です。

 また、時間もお金もかからないため、今すぐに実践していただけます。

「ありがとう」が癖になると子育てが楽になる

 先述したように、子育ては理屈だけではできません。

 特に、イヤイヤ期や思春期の子の対応はとても難しいものです。

 それは、いつもの「褒める」「叱る」といった評価を素直に受け止めてくれないからです。

 その中で、どうにかして「褒めなきゃ」「叱らなきゃ」と考えていると、それだけで親は疲弊してしまいます。

 そこで「ありがとう」が効果を発揮します

 突然でいいので

 「いつもありがとう」

 と伝えてみましょう。

 何も返ってこないかもしれません。

 それでいいのです。

 「ありがとう」は評価ではないので、相手に受け止めてもらう必要がありません。

 したがって、ただ投げかけるだけでいいのです。

 相手のリアクションを期待する必要もありません。

 もし受け止めてくれたとしても「ありがとう」は評価ではないため、マイナスには絶対になりません。

 そして、もし子どもが、親からの「ありがとう」を受け止めてくれるのであれば、続けて「聞いてくれてありがとう」や「〇〇してくれてありがとう」と伝えましょう。

 しばらく続けていくと、不思議なことに、どんな子でも自分からどんどん動き出すようになります。

「ありがとう」でとらわれを打破する

 子育てにおいても評価を気にすると、その途端にとらわれます。

 とらわれながらの子育てはとても息苦しいです。

 「ありがとう」を上手に活用して、とらわれを打破しましょう。

 そうはいっても評価が気になってしまう方、なかなか子どもに「ありがとう」が言いづらい方などは、ぜひ一度当オフィスにお越しいただければ幸いです。

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「子育てに活かす「ありがとう」」への1件の返信

  1. 子育ての事、確かにそうだなと思うことあるなーと思います。
    ありがとうも大事だと思うことも大切だなと読んでいて思いました。
    私も、今の担当者とに瞑想箱庭を始めて、もうすぐ1年になります。
    最初は中々ペースがつかめませんでしたが、感覚が少しずつ戻り、瞑想箱庭をすることが出来ているのかなと感じています。
    いっぱいのコップ水を減らす時間もとっても大事だと思えるようになりました。

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